明暗の構図 — 5社の中間決算を1枚に
The Split: Five Houses at a Glance5大商社 FY26 中間純利益ランキング(億円)
2025年11月に出揃った5大商社の中間決算は、「資源・LNG価格の一巡」と「ローソン持分法化」という2つの構造要因が重なり、各社の純利益が久しぶりに大きくばらついた。
中間純利益 **5,003億円(+14.1%)**。2期連続の中間期最高益。株式分割と増配を同時に発表し、市場にも好印象。
中間純利益 **4,237億円**、通期見通しを7,700億円 → **8,200億円に上方修正**。LNGと鉄鉱石が強含みで寄与した。
中間純利益 **3,558億円(-42.4%)**。5社で最大の落ち込み。ローソン持分法化に伴う会計処理と、一部資産の減損が重なった。
中間純利益 **3,055億円(+28.3%)**。穀物・食料セグメントと電力の好調が寄与。5社で増益率トップ。
中間純利益 **3,012億円(+18.6%)**。鋼管事業の回復と、海外インフラ事業の利益が押し上げた。
> 「5社合計の純利益水準そのものは大きく変わらないが、**序列が動いた** ことこそが今回の決算の本質だ。」(国内アナリスト評)
三菱商事 −42%の中身 — 一過性か、構造か
Inside Mitsubishi's 42% Drop三菱商事 −42.4%の要因分解(推定)
三菱商事の大幅減益は、単純な「業績悪化」ではなく **一過性要因と構造要因が混在** している点が複雑だ。
2024年にKDDIとの共同TOBで非上場化したローソンは、2025年度から **持分法適用会社** へ移行。従来の連結利益への寄与が大きかっただけに、会計処理の変化だけで数百億円単位のマイナス影響が出た。
海外資源関連プロジェクトで減損を計上。金額は開示ベースで数百億円規模。
石炭・金属の価格は2022〜2023年のピークから下落基調で、三菱の収益のうち資源セグメントの厚みがマイナスに働きやすい体質になっている。
つまり、三菱商事の42%減は **「一過性6割+構造4割」** というのが現時点での概ねの見方だ。通期では持ち直す見込みだが、**伊藤忠との序列逆転は当面固定化** する可能性が高い。
伊藤忠の強さ — 非資源ポートフォリオと消費者接点
Why Itochu Is Winning伊藤忠のセグメント別利益構成(概算)
伊藤忠商事の強さは「5社の中で最も非資源セグメントが厚い」という一点に尽きる。
ファミリーマート、日本アクセス、伊藤忠食品が柱。**約1.6万店舗のファミマ** という強力な消費者接点が、商社の中でも突出している。
繊維・住生活・情報金融を含む「生活消費関連」は、伊藤忠の利益構成の **3〜4割** を占める。三菱商事・三井物産の資源依存とは好対照な構造だ。
2025年後半、伊藤忠の時価総額はついに三菱商事を **逆転** し、5大商社で首位に立った。純利益・株価・時価総額の「商社三冠」を目指す姿勢を岡藤会長は繰り返し強調している。
> 「資源は循環する。人の消費はしない。だから非資源が厚い会社が強い。」(伊藤忠・岡藤正広会長, 決算会見要旨)
バフェット効果はどこまで持続するか
How Long Does the Buffett Premium Last?バフェット効果の6年 — 保有と株主還元の軌跡
- 2020バークシャー、5社を一斉取得(各社〜5%)
- 2023保有比率を 7.4% 前後まで引き上げ
- 2024各社 約9% 台前半で『長期保有』明言
- 2025総還元性向 50〜60%、自社株買い拡大
- 2026伊藤忠が時価総額で首位。バフェット効果は継続
2020年にバークシャー・ハサウェイが5大商社株を一斉に取得して以降、日本の商社株は **『バフェット銘柄』** として海外投資家の視線を集めてきた。2026年現在、この「プレミアム」はまだ効いているのか。
バークシャーの保有比率は、段階的に引き上げられ **各社約9%台前半**。バフェット本人は「長期保有」を明言しており、市場はこれを実質的な「床」と見なしている。
5社とも2024年度以降、**配当性向30〜40%+自社株買い** の組合せで総還元性向を **50〜60%** 水準に引き上げた。バークシャーに対する「株主還元で応える」という姿勢が鮮明だ。
バフェット効果は万能ではない。資源価格の急落や為替の急変動が重なれば、**短期では株価が大きく揺れる**。2025〜2026年にかけて、三菱商事の株価が一時急落した局面でも、バークシャーの保有比率は変わらなかったが、相場の下支えにはならなかった。
つまり、バフェット効果は **「長期の信用の保証」** ではあっても、**「短期のボラティリティ防波堤」ではない**。2026年以降の投資判断では、この区別を意識することが欠かせない。
> 出典: 各社 FY2026 中間決算説明資料、日本経済新聞、東洋経済オンライン、SBBit、Business Insider Japan。