122兆円という規模 — 過去最大更新の中身
¥122T — What's Inside the Record Budget2026年度一般会計予算 122.3兆円の内訳(兆円)
2026年度(令和8年度)一般会計予算は 122兆3,092億円 と、前年比でおよそ 7兆円増、2年連続で過去最大を更新した。
約38兆円。高齢化で自然増が続くうえ、子ども・子育て支援金制度 が4月から始まるため、関連経費が上乗せされている。
約31兆円。日銀の利上げで金利負担が膨らみ、2025年度から 約2兆円増。政府予算の4分の1を利払い・償還に充てる状態は、財政の健全性論議を再燃させている。
約9兆円。岸田政権以来の「43兆円・5年計画」の仕上げ段階にあたり、装備品の本格調達と在日米軍再編経費が計上された。
AI・半導体・量子・GX関連の 戦略投資 を、高市首相が『責任ある積極財政』の目玉と位置づけている。財務省の抑制志向に対する明確なカウンターだ。
「過度な緊縮志向が長年続いてきた。今度はそれを反転させる。」(高市早苗首相, 2026年度予算閣議決定時のコメント)
少数与党の算数 — 参院4議席の壁
The Arithmetic: 4 Seats Short衆参両院の与党勢力 — 参院4議席不足という現実
衆院では与党(自民+公明)が安定多数を持つ一方、参議院では 過半数に4議席不足 している。これが高市政権の政策運営を根本から制約している。
国民民主党(玉木雄一郎代表)。予算案の成立に必要な賛成を得るため、与党は 『年収の壁(103万円→178万円)』引き上げ で国民民主に大きく譲歩した。
国民民主だけでは足りない局面もあり、日本保守党・無所属議員にも個別に接触。いずれも思想的に自民に近いが、条件闘争の材料 を盛り込んで賛成を取り付ける必要がある。
野党第1党の立憲民主党、日本維新の会、共産党は予算案に反対。ただし維新は一部の成長投資項目では与党と足並みを揃える局面もあり、「反対の質」にも濃淡 がある。
当初予算の成立が4月以降になるのは 2015年以来11年ぶり。『予算年度内成立』という戦後政治の慣例が崩れ、行政の執行スケジュールにも影響が出ている。
市場の警戒 — 長期金利と『積極財政の重力』
Market Worries: Long Rates and the Gravity of Expansion10年国債利回りの推移 — 積極財政の重力
122兆円予算と日銀の利上げが重なり、長期金利(10年国債利回り) は2026年春にかけて 1.6%前後 まで上昇した。これは2011年以来の水準だ。
市場は「高市政権の積極財政に対する上乗せ金利」を要求し始めている。国債費が31兆円まで膨らんだ事実は、この動きを定量的に裏付けている。
日銀の利上げが続けば、利払い負担は自動的に増える。政府と日銀の「政策連携」は建前であって、実務上は綱引きだ。市場はその不協和音を、長期金利の上昇という形で表現している。
2025年秋の大型補正予算直後、長期金利が急伸した局面があった。財務省はその経験を踏まえ、2026年度当初予算の歳出規模を「意外にまとも」に抑えたと評する論者もいる。長期金利そのものが、積極財政の『ブレーキ役』を担い始めている構図だ。
市場の圧力は、少数与党の交渉相手にはならない。しかし、それは政策運営の 実質的な第3の院 として機能している。
この先 — 参院選まで何が問われるか
Until the Upper House Election2026春 → 2027夏 参院選までのロードマップ
- 2026春122.3兆円予算成立(11年ぶりに4月以降)
- 2026夏子ども支援金・防衛特別法人税 施行
- 2026秋補正予算と長期金利の綱引き
- 2027春2027年度予算 成立
- 2027夏参議院選挙 — 少数与党状態の帰趨
少数与党2年目の最大の試練は、2027年夏に予定される 参院選 だ。ここで議席を積み増せなければ、少数与党状態は長期化する。
0.75%への利上げと円安の綱引きの中で、実質賃金 がプラスに定着するかどうか。有権者の体感経済が選挙結果を最も左右する。
『年収の壁』引き上げ、子ども・子育て支援金、防衛特別法人税 — いずれも家計と企業に直接効く論点だ。与党が成果を語れる材料に仕立てられるかが鍵となる。
トランプ政権2期目との関税・在日米軍経費交渉、台湾海峡情勢。高市首相の保守的立ち位置は、この局面では与党の強みに転じうる。
『高市カラー』争点として野党が攻めてくる分野。与党内にも温度差があり、統一メッセージを発信しにくい弱点 として残る。
2027年参院選までの1年強は、少数与党2年目の政権運営が 「積極財政が市場と有権者にどう評価されるか」 を試す期間になる。今回の122兆円予算は、その最初の成績表でもある。