日本はなぜ地震が多いのか、なぜ台風は日本に来るのか、なぜ気候変動が問題なのか——これらはすべて「地球のしくみ」の問いです。地球科学は私たちが住む惑星そのものを対象とし、内部から大気・海洋・歴史まで丸ごと理解しようとする学問です。
ねらい — 地球の内部は決して静止していません。層ごとに異なる物質が動き続け、磁場を作り、プレートを動かしています。
地球は内側から「内核(固体の鉄とニッケル)→外核(液体の鉄とニッケル)→マントル(固体だが超長期でゆっくり流れる岩石)→地殻(私たちが立っている薄い岩盤)」という層状構造を持ちます。地震のときに生じる「地震波」が地球内部をどう伝わるかを分析することで、地面を掘らなくても各層の性質がわかりました。
外核の液体金属が対流(熱による流れ)することで、地球全体に磁場が生まれます。この地磁気がなければ、太陽から飛んでくる有害な宇宙線が大気を破壊してしまいます。地磁気は見えないシールドとして生命を守っています。
ねらい — 日本の地震や火山も、ヒマラヤ山脈も、大西洋が開いていることも——すべて「プレート」という岩盤の動きで説明できます。
地球の表面は十数枚の岩盤(プレート)に分かれており、マントル対流に乗って年に数センチずつ動いています。プレートの境界には「離れていく(発散)」「ぶつかる(収束)」「横にずれる(トランスフォーム)」の3種類があり、それぞれ異なる地形と地質現象を生みます。
プレートがぶつかる「沈み込み帯」では、一方のプレートが他方の下に潜り込み、マグマが生まれて火山活動が起こり、地震も多発します。日本は太平洋プレートとフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込む典型的な沈み込み帯の上にあります。
ねらい — 天気予報が外れることがあるのは、大気が複雑に動いているからです。その大きな流れのしくみを理解しましょう。
地球大気の約78%が窒素、21%が酸素で、残りは二酸化炭素・アルゴンなどです。地表から高度11kmほどを「対流圏」と呼び、ここで雲・雨・台風など天気現象が起きます。太陽の熱が赤道付近を強く温め、地球の自転も加わって、大気は複雑な循環パターンを作ります。
ハドレー循環(赤道から緯度30度付近への熱の輸送)、偏西風(中緯度を吹く西向きの強風)、ジェット気流(高高度の強風)などが地球の気候を決める大きな流れです。エルニーニョ(太平洋赤道域の海面温度が上昇する現象)はこの流れを乱し、世界各地の異常気象を引き起こします。
ねらい — 海は地球の体積の97%の水を蓄え、気候を安定させ、生命を支える巨大な「調整役」です。
海は地球表面の約70%を覆い、熱と CO₂(二酸化炭素)を大量に吸収・蓄える役割を果たしています。表面の海流は主に風によって動き、深層の海流は塩分と温度の差(重い水が沈み込む)によって生じる「熱塩循環(深層循環)」として地球をゆっくり一周します。
水循環は「海から蒸発→雲になり降水→川や地下水として海に戻る」という地球規模の水の旅です。この循環なしには気候の安定も植物の成長も陸地の侵食も起きません。人間の水資源もすべてこのサイクルに依存しています。
ねらい — 地球は46億年かけて現在の姿になりました。その歴史を知ると、今私たちが直面している気候変動の深刻さも見えてきます。
地球は約46億年前に誕生し、原始大気の形成・生命の誕生(約38億年前)・光合成による酸素の蓄積・5度の大量絶滅(恐竜が滅んだのも5回目の大量絶滅)を経て現在に至ります。地球の歴史を1年間に縮めると、人類が現れるのは12月31日の夜11時40分ごろです。
現代では化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の燃焼によって大気中の CO₂ 濃度が急上昇し、地球の平均気温が上がり続けています。このスピードは地質学的な過去と比べても前例がなく、地質学者の間では人類の影響を刻む新しい地質時代「人新世(じんしんせい)」という名前を設けようという議論があります。
現在の CO₂ 増加速度は、過去数百万年の地質記録には前例のないペース。地球が経験したことのない変化が、私たちの世代で起きています。